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第39話 父、公爵としてではなく罪人として

last update Petsa ng paglalathala: 2026-09-15 21:36:15

 グレゴール・ヴァレンシュタイン公爵は、拘束されてもなお、公爵だった。

 少なくとも、本人はそう振る舞っていた。

 北翼の尋問室に通された時も、彼は背筋を伸ばし、顎を引き、皺ひとつない上着の襟元を整えていた。拘束中とはいえ、まだ正式な爵位剥奪には至っていない。衣服も囚人服ではなく、簡素ながら公爵家の人間としての体裁を保つものを許されている。

 だが、その袖口に飾りはなかった。

 指輪もない。

 家紋入りの飾り鎖も取り上げられている。

 それだけで、彼の威厳は半分ほど削がれて見えた。

 それでもグレゴールは、部屋へ入るなり周囲を見渡し、低く言った。

「これは何の真似だ」

 声には、まだ人を従わせる響きがあった。

 長年、公爵として命じる側に立ってきた男の声。

 家臣も、使用人も、夫人も、娘たちも、その声で黙らせてきたのだろう。

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